1-2文肢

  • なんのことかと思ったら、文を直接構成する一単位のことだった。文肢の語数は機能に関係しない。
  • 統語的機能に応じて、主語、述語、目的語、副詞類に分類される。さらに付加語もある。
  • 主語は、定動詞と人称・数において呼応する文肢、
  • 述語は、主語ないし目的語に対しイコールの関係に立つ文肢(主語述語、目的語述語)、
    • sein、werdenなどと結合する主語述語はわかりやすいが、他の動詞と結合する主語述語はわかりにくい。付加語が一般的に持続的な属性を表すのに対し、このタイプの主語述語は動詞の表す出来事が生じたときに主語がどのような状態であったかを表す。
      • Er ist jung gestorben.<若くして死んだ><->Der junge Mann starb gestern.
      • Er kam krank nach Hause.<病気になって帰宅した>
      • Er ist gluecklich heimgekehrt.<無事帰宅した>
  • 目的語は、動詞(あるいは述語的形容詞)が補足成分として要求する対象を表す文肢、
    • 4格目的語。dass文、zu不定句なども含む。特殊なものに次の二つがある。
      • 結果目的語 Sie backt einen Kuchen.<ケーキを焼く>
      • 同族目的語 Er starb einen heldentod.<英雄的な死に方をした>
      • 本来必要な4格目的語を伴わない他動詞の用法を絶対的用法という。Er trinkt gern.<飲むのが好きだ>
    • 3格目的語。行為の到達点や出発点を表す。
      • Er bietet dem Freund eine Zigarette an.<友人にタバコを一本勧める>
      • Der Gefangene konnte den Waechtern entfliehen.<囚人は看守たちから逃亡できた>
      • 3格目的語をとる動詞には、接頭辞 bei-, ent-, entgegen-, nach-, vor-, wider-, zu- などを持つものが多い。
    • 2格目的語。ふつう文語的で、現代ドイツ語では前置詞目的語によって置き換えられるものが多い。
    • 前置詞格目的語。この場合の前置詞句は動詞によって支配されるため、前置詞の種類は動詞によって決まり、前置詞そのものの意味はあまりない。これに対し、副詞類の場合はその都度表現内容に応じて前置詞が決まるので、前置詞そのものに具体的な意味内容が認められる。
  • 述語的形容詞の目的語も4格、3格、2格、前置詞格がある。
    • Das Kleid ist 4000 Mark wert.<そのドレスは4千マルクの価値がある>
    • Mir ist alles egal.<私にはすべてがどうでもいい>
    • Er war sich des Sieges gewiss.<勝利を確信していた>
    • Sie ist mit dem neuen Staubsauger zufrieden.<新しい掃除機に満足している>
  • 副詞類は、動詞・述語に関与する時間、場所、様態などを規定する文肢で、副詞、形容詞、前置詞句、2格および4格名詞などがなる。
    • 補足成分(削除できないもの)Ich wohne in Berlin.<ベルリンに住んでいる>
    • 添加成分(削除できるもの)Er arbeitet gern.<喜んで仕事をする>
  • 付加語は、名詞句の核をなす名詞を修飾するもの。形容詞、2格名詞、副詞、前置詞句などがなる。
    • 長くなった付加語は冠飾句と呼ばれる。特に現在分詞や過去分詞を含む付加語に見られる。
    • 他の名詞の説明のために併置された名詞も付加語の一種で、同格と呼ばれる。