七十人訳

 エレミヤの授業では七十人訳が大活躍。32章でエレミヤが親戚のアナトトの土地を購入する話があるのだが、その際、土地購入の証書に封をしたものとしていないものがあり、長く保存できるように土の器に入れよ、とヤハウェから命じられる。BHSではマソラテキストと七十人訳との異同がかなり多く記されていて、いったい七十人訳では何を土の器に入れたんだろうか、とよくわからなくなってしまった。Rahlfsの校定本を見ると、封をしていないものというのが付け足しのように書かれている。土の器に入れるのは単数になっている。ATDの注解によれば、一枚のパピルスの上下に書いてそれを切り離し、上の方だけ封をして下の方は封をせずにそのまま丸めて器に入れるという。もとが一枚だから単数で言われるんだそうだ。よくわからんが、そういうことらしい。BHSの脚注には「七十人訳のオリジナル」という記号があって、いったいこれは何を指しているんだろうかだいぶ疑問だった。ではRahlfsのものは何を定本にしていて、何の異読が脚注に書かれているのだろうか、そんなことすらちゃんと確かめていないままだった。それ以外でもBHSの脚注に出てくる資料にはわからないものがたくさんあった。そんなのを調べるのに大いに役立ったのが、『旧約聖書の本文研究』。前にも何度か読んでいたが、読んでもわからないことだらけで投げ出してしまっていたのだった。BHSの序文と併せてしっかり読むと、むちゃくちゃよくわかる。BHSの序文だけではなんのことかわからないので、この参考書は必携だ。それにしても、聖書の校定本の歴史はすごい。