1-4文肢配列規則(語順)

  • 枠規定規則。
    • 定動詞および述部成分の配列規則のこと。
      • 平常文。定動詞は第2位、述部成分は文末。
      • 疑問文。
        • 決定疑問文。定動詞は文頭、述部成分は文末。
        • 補足疑問文。定動詞は第2位、述部成分は文末。
      • 命令文。定動詞は文頭、述部成分は文末。
      • 副文。定動詞は文末、述部成分はその直前。
        • ドイツ語では主語はかならずしも動詞の前ではないので、倒置という用語は不要。
    • 枠構造。定動詞と述部成分、あるいは副文での接続詞などと定動詞が形成する枠のこと。
      • 述部成分を伴わない場合でも、動詞と密接な関係がある文肢を代わりにして枠構造を想定できる。
    • 枠外配列。枠構造の後ろに文肢を置くこと。
      • 文法的要因。比較の対象を表すals/wie句、副文、zu不定句。
      • 伝達的要因。長すぎる文肢、強調する文肢。
  • 順序規定規則。語順の規定を形態的要因、統語的要因、伝達的要因の3つの規則で考えることができるが、情報価値の大きい文肢ほど後方に置かれるという伝達的要因で全てを説明できる。情報価値の大きい文肢ほど後方に置かれるというのは日本語でも同様。
  • 文頭。
    • 文頭に置く文肢。平常文の文頭には、次の機能が与えられる。
      • 叙述的機能。既知の情報が文頭に置かれる場合。先行する文に関連する場所、時間、理由などを表す文肢。先行する文で言及され、新しく述べる事柄の話題になる文肢。
        • こうした文肢がなければ、伝達価値の低い副詞類を文頭に置くのが原則。小説の冒頭など、もっとも多く用いられるのは場所、時などを表す副詞類である。また、「穴埋めのes」と呼ばれる非人称のesが文頭に置かれることもある。
      • 強調的機能。未知の情報が文頭に置かれる場合。強調という文体的効果が生じる。