新約聖書を勉強しようと思ってまず必要となるのは、当然のことながらギリシャ語テクストである。色々と印刷公刊本が出されているわけだが、その中でも定番中の定番が、いわゆる“ネストレ”というものである。詳細は『書物としての〜』400頁以下をお読みいただくとして、http://www.mazon.co.jpでネストレの最新版である27版を手に入れようと思った場合、いくつかそれらしきものが見つかる。amazonは書誌情報が不十分なところがあるので、いったいどれを選んだらいいか迷われるかもしれない。実際私も迷った。同じようなものに様々な値段がつけられている。
まず、素直に「Novum Testamentum Graece」で検索する。すると
asin:3438054019
という
ラテン語と一緒になったもののみが購入可能の商品としてヒットする。辞書付きのものなどもヒットするが、在庫切れ状態で購入できない。
ラテン語と並べられているだけに、1503ページもある。ただ、後に挙げる
ギリシャ語のみのもののページ数の2倍より少なくとも100ページほど少ない。序文などで100ページほど使われているのなら、本文700ページの2倍プラス100ページでこのページ数か。1994年発行というのも、27版が出た93年の後に
ラテン語との合本が作られたと考えれば、
ギリシャ語の方は27版が使われていると考えていいのかも。4千5百円ほどでまずまずの値段。ドイツからの輸入。ただし、
ラテン語が必要なければ、無駄に分厚くない方がいいし、無駄に高くない方がいい。できれば
ギリシャ語のみのものが欲しいと思って検索を続ける。検索語を「Novum Testamentum」に変えると、
asin:3438051036
という中途半端な名前のものが見つかる。これでは見つからないはずだ。しかしこれはErwin
Nestle、Eberhard
Nestle、Kurt Alandの3人の名前が挙げられている。2004年の発行だからえらく新しい。しかし、その横に「Largeprint 版」の文字が。同じドイツからのもので
ラテン語がないのにどうして6千円近くもするのかと思いきや、そういう理由だったのか。大きくなくていい、コンパクトで安いのが欲しいと思ってよく見てみると、「その他のエディション」に「ハードカバー」と「革装本」の文字が。これもハードカバーのはずだが、と思いつつ「ハードカバー」をクリックすると、
asin:3438051001
というわけのわからない数字のつけられたタイトルで、A.
Nestle(だれ、それ?)という人の著作とされた本が登場する。出版社もAmer Bible Societyという中途半端さ(これでもまだいい方?で、私が購入した時に表示されていたのはFaithworksという全く聞いたことのない出版社の名前だった)
*1。ページ数はLargeprint版より少し少ない810ページ。発行年は1993年1月(この1月というのは怪しい。年のデータしかない時に自動的に1月になるのかも)。しかし、こちらにはちゃんと27th版の文字が。しかも、ISBNで調べた限り、これがどうもお目当てのネストレ27版の通常版のようである。お値段はなんと3千円。同じドイツからの輸入でどちらもハードカバーであるのなら、サイズの違いでほぼ半額で買えるのなら、私はこれを買う。実際、04年6月に注文した。届いたのは2001年発行の8訂版のものである。8訂版から
パピルスの99-116が加わっている。Institut fuer neutestamentliche TextforschungのHP(
http://www.uni-muenster.de/NTTextforschung/INTF.html)を見た限りでは、この8訂版が最新のもののようだ。なので、ネストレの最新のものを安く手に入れたいと思ったら、これを購入すればいいことになる。その辺の事情をレビューに書いて
Amazonに投稿したのだが、どうやら採用してくれなかったようだ。採用しないなら採用しないでいいんで、書誌データをちゃんと修正していただきたい。仕方がないんで修正情報を送ってあげたが。
ちなみに、「革装本」の方は
asin:343805101X
という
アメリカ版GNTと紛らわしい名前がつけられている。革装だけあって、8千5百円ほど。1993年12月発行になっているので、27版なのは間違いない。2001年の8訂版が送られてくるかはわからない。ドイツから。
アメリカからであればもう少し高いのかも。というのは、次に挙げるのがおそらくLargeprint版の
アメリカからのものだからである。
asin:3438051087
これも
アメリカ版GNTと紛らわしいが、表紙の写真を拡大して確認すると、ちゃんと
NESTLE-ALAND NOVUM TESTAMENTUM GRAECEと書かれている。編者の名前にK. AlandもE.
Nestleも載っており、デカデカと
Nestleと書かれた帯がついており、2001年11月発行ということで、これが最新のものかと思って買いたくなる。しかし、7千円近くする。
アメリカからの輸入。タイトルのFLというのは、Foreign Languageの略???Largeprint版を意味する略号だと思うのだが、よくわからない。同じLargeprint版でも、ドイツからのものより千円も高い。Largeprint版でないなら4千円も高いことになる。是非ともあの帯が欲しい、という奇特な方以外はわざわざこれを買う必要はないだろう。
以上、3〜4千円くらいまでの洋書を購入する場合は、送料も考慮に入れるとamazon.co.jpで購入するのがおそらく一番安いということで、amazon.co.jpでネストレ27版を購入する場合の注意点を述べた。参考になれば幸いです。