1-5文肢の位置

  • 定動詞。前課のまとめ。
    • 第2位は、平叙文、補足疑問文、要求話法(Man nehme taeglich eine Tablette.<一日一錠服用のこと>)。
      • dassを省いた間接話法の場合、断わり書きや認容文が先置される場合。
    • 文頭は、決定疑問文、命令文。
      • wennを省略した場合、認容文、要求話法、wollen/lassenを用いた提案文。
    • 文末は、副文(接続詞文、関係文、間接疑問文)。
      • 不定詞が2つ以上連続する場合は、定動詞は不定詞群の前。…, weil ich gestern den ganzen Tag habe arbeiten muessen.
  • 述部成分。定動詞の位置に関連する。
    • 定動詞が第2位の主文の場合、文末。
      • 強調のために文頭に置くこともある。
    • 定動詞が文末の副文の場合、定動詞の直前。
      • 分離前つづりは一語として綴られる。
    • 複数個ある場合、一定の規則で並べられ、文末ないし定動詞の前。
      • 日本語の語順と異なるのは、主文の定動詞の位置のみ。
  • 枠構造内の文肢配列。形態的、統語的、伝達的規則に基づいて規定。
    • 主語述語。コプラ動詞と統語的に結びつくので、コプラ動詞が第2位か文頭の場合は文末、文末の場合はその直前。強調の場合に文頭に置かれることもある。
      • 形容詞的述語は、前置詞格目的語の前に置かれることがある。
      • 述語が代名詞esの場合、定動詞の直後に置かれる。
    • 目的語述語。主語述語に準ずる。
      • 強調で文頭に置くこともできるが、意味的に主語の関係にある4格目的語の直前には置けない。
    • 主語。原則は文頭。伝達的規則で文中にも。
      • 未知の情報か、人称代名詞やmanのようにあまり重要でない情報を担う場合に多く文中に置かれる。
      • 自立各目的語が代名詞で主語が名詞なら、主語が後ろに置かれることも。前置詞格目的語の場合は主語は前。
    • 目的語。原則は文中。
      • 4格目的語の方が原則的に動詞との関係が密接なので、3格目的語の後ろ。伝達価値が高いものほど後方に。
        • 4格目的語が代名詞の場合は3格目的語の前(指示代名詞の場合は別)。
        • 一部の動詞で3格目的語の方が後方に置かれる(Er widmet sein Leben der Kunst.<人生を芸術に捧げる>)。
      • 前置詞格目的語は原則的に、形態(名詞か代名詞か)に関係なく、自立格目的語の後ろ。自立各目的語も新しい情報を担う場合は後ろに置かれる。
    • 述語の目的語。
      • 自立格の場合、述語の前(Er ist Kaelte gewohnt.<寒さに慣れている>)。
      • 前置詞格の場合、述語の前にも後ろにも(eEr ist an dem Unfall schuld.<その事故の責任は彼にある>)。
    • 副詞類。
      • 補足成分の場合、動詞と統語的に密接な関係にあるので、文末。
      • 添加成分の場合、原則は自由。重要なものほど後ろへ。空間及び様態副詞類は文末に向かう傾向。接続副詞は前方に向かう傾向。
    • 所有の3格。
      • 4格・前置詞格目的語に関連する所有の3格は、それらの前。強調の場合は文頭にも。Der Arzt operiert dem Patienten den Magen. <医者は患者の胃を手術する>
      • 主語に関連する所有の3格は、主語が文頭の場合、3格目的語に準じる位置。テーマとして文頭に置くことも可。Dem Kranken hat heute der Magen weh getan.<病人はきょう胃を痛がった>
  • nichtの位置
    • 文否定と部分否定。文全体を否定するのが文否定。
      • 意味が異なってくるので、nichtの位置も本来異なるが、同一になってしまうものもある。その場合でも音調は異なる。
    • 文否定。原則は、述部成分があればその前、なければ文末。動詞が文末というのをドイツ語の基本語順として考えるなら、文否定のnichtも否定すべき語句である動詞の前に置くという同一の原理で説明できる。
      • nichtを必ず前に置かなければならないのは、動詞と熟語的に結びついている目的語の場合(Er faehrt nicht Auto.<車を運転しない>)と、補足成分としての副詞類の場合。
        • 話者の判断に基づいて使用される副詞(gleich, bald<すぐに>など)、様態を表す副詞類(fleissig<まじめに>など)の場合、nichtはかならず前に置かれ、部分否定の解釈を受ける。
      • 前でも後ろでもいいのは、目的語が前置詞格の場合、添加成分としての副詞類の場合(時間を表す副詞的4格および本来的な副詞の場合は後ろ)。
    • 部分否定。原則は、否定すべき語句の直前。主文の定形の動詞の前に置くことはない。sondernを伴うことも多い。