報告文は以下のようになりました

 「一神教の学際的研究」が21世紀COEプログラムに採択されるということは、聖書学を本格的に学びたいと思っていた私にとって、同志社大学を受験する決定的な理由となった。実際、研究会や公開講演会、英語やアラビア語インテンシブ・コースなど、一神教学際研究センター(CISMOR)が設立されたお陰で増加した学習・研究の機会を多いに利用させてもらっている。
 今回のマレーシア研修もそのようなCISMORの提供するプログラムの一つである。マレーシアが未知の国であったこと、英語とイスラームを学ぶという明確な目的があったことで参加を決意した。
 英語を学ぶだけなら別にマレーシアである必要はない。イスラームにしても、専攻の聖書学と直接関係あるわけではない。しかし、ほとんど接する機会のなかったムスリムの生活を肌で感じることで、信仰の書である聖書を研究していく上での新たな視点が与えられたことは間違いない。学習と生活の場となったマレーシア国際イスラーム大学(IIUM)で出会った多くの友人達の姿が、ムスリムの生活は規律が多くて息苦しいという先入観を打ち破ってくれた。IIUMの女子学生が皆ヒジャブを被っていたのが最初は異様だったが、一週間も経つとそれが自然になり、私にとっては親しいはずの教会で女性が髪を露にしているのが却って不自然に思えた。置かれた状況が変わると世界を見る目もこんなに変わってしまうものなのか。この新鮮な驚きは、聖書を読んでいく際にも大切にしていきたいと思った。聖書の読み方が自分の置かれた状況に随分と規定されていることを自覚していなければ、自分と違った読み方に理解を示すことは難しいだろうから。
 今後もCISMORのプログラムに積極的に参加することで聖書の読みに幅を持たせていけたらと願っている。