果物

目覚ましの音で目が覚めると、6時20分だった。2回も目覚ましを無視したことになる。起きて行くと、パパもママもいる。台所の屋根を叩く雨音で初めて雨が降っていることに気付いた。雨のお陰で最後の朝もパパとママと迎えることができた。息子さんも来てくれていた。朝食は、おむすびのようにご飯をバナナの皮に包んで、小魚や卵が添えられているものと、昨晩も食べたマンゴージャムのサンド、ビスケット、ココナッツの乗った少し甘めのもの、そして例によってマイロだった。食後にパパがぼくらに被り物をくれた。橘高さんの頭に入るサイズのものはなかった。ぼくにも入らなかった。まあまあ様になるのをそれぞれもらった。ハジ・セイチー、ハジ・ティモシー、とパパは喜んでいた。サロンを巻いて帽子を被ったぼくはすっかりオラン・マレーになってしまった。
 食べ終えるとすぐお別れの時間。外に出てばかりでママと過ごした時間はほんの僅かだったが、別れは寂しかった。テリマ・カシ・バンヤク・バンヤク(どうもありがとうございました)、と言って、パパの車に乗った。雨はもう止んでいた。